一なる騎士
(4)真の主
驚愕したのは、けっして王妃だけではなかった。
もっとも驚いたのは、当の本人。リュイスであった。
なぜ、こんなことになったのか、わからない。
わからないが、ひとつだけ確かなことは、自分が王として聖別すべきだったのは、この姫。まだ生まれてまもない、目もろくに見えてないであろう姫だということ。
聖別と言うものが、これほど容赦ない天啓を伴うものだとは知らなかった。
ふさわしいお方だからと、まわりの人間の言うがままに、なした十年前とはまるで違う。
いや、あれは聖別などではなかったのだ。周囲に流されただけに過ぎない。
(僕は間違えたのか。だが、あのとき、この姫は生まれてはいなかった。)
生まれていないものを、どう選べばよかったというのだろうか。
それとも、この姫がいなかったのだから、誰でもよかったということなのか。
(間違いは正さなければならない。それが『一なる騎士』としての僕の努め。けれど、まだこんな赤子に『大地の王』の重責は負わせられない。)
ならば、今まで通りに振る舞うしかないだろう。
いずれ、ふさわしい時が来るまでは。
たとえ、それが現『王』に対する裏切りであろうと。
自分はこの姫のためなら、何でもするだろう。
どんな卑怯なことであろうと。どんなそしりを受けようと。
もっとも驚いたのは、当の本人。リュイスであった。
なぜ、こんなことになったのか、わからない。
わからないが、ひとつだけ確かなことは、自分が王として聖別すべきだったのは、この姫。まだ生まれてまもない、目もろくに見えてないであろう姫だということ。
聖別と言うものが、これほど容赦ない天啓を伴うものだとは知らなかった。
ふさわしいお方だからと、まわりの人間の言うがままに、なした十年前とはまるで違う。
いや、あれは聖別などではなかったのだ。周囲に流されただけに過ぎない。
(僕は間違えたのか。だが、あのとき、この姫は生まれてはいなかった。)
生まれていないものを、どう選べばよかったというのだろうか。
それとも、この姫がいなかったのだから、誰でもよかったということなのか。
(間違いは正さなければならない。それが『一なる騎士』としての僕の努め。けれど、まだこんな赤子に『大地の王』の重責は負わせられない。)
ならば、今まで通りに振る舞うしかないだろう。
いずれ、ふさわしい時が来るまでは。
たとえ、それが現『王』に対する裏切りであろうと。
自分はこの姫のためなら、何でもするだろう。
どんな卑怯なことであろうと。どんなそしりを受けようと。