一なる騎士
(7)エイク
「やあ」
なんの遠慮もなく入ってきた人物は、エイク・セイファータ。セイファータ公爵の嫡子。リュイスの姉サジェルの夫であり、レイルの父。リュイスにとって義理の兄にあたる男であった。
口元はいつもだらしなく薄ら笑いが浮んではいるが、鼻筋は通り、どちらかというといかつい男らしい精悍な顔立ちをしている。
どことなく女ぽい容貌の公爵とは好対照である。
しかし。
(いつ見ても、すごい格好だ)
もうとっくに三十は過ぎているはずである。
頭に無造作に巻きつけたどぎつい紫の布切れからは、艶のない灰色の髪がぴんぴんとはみ出している。片耳には重そうな金の耳飾り。
そして、なにより、その衣装。
真っ赤な胴着に鮮やか黄色のサッシュを締め、しかも緑のズボンをはいていた。着ている本人は、おしゃれだと悦に入っているようだが、誰が見ても頭が痛くなるようなとんでもない色の組み合わせである。
すこしばかり魅力的な顔立ちをしていても、この出で立ちではすべては台無しである。そして、彼の奇矯さは何もその出で立ちだけではないことくらい、それほど交流のなかったリュイスですら知っていた。
「何か御用でしょうか」
リュイスは内心恐る恐るたずねた。
なんの遠慮もなく入ってきた人物は、エイク・セイファータ。セイファータ公爵の嫡子。リュイスの姉サジェルの夫であり、レイルの父。リュイスにとって義理の兄にあたる男であった。
口元はいつもだらしなく薄ら笑いが浮んではいるが、鼻筋は通り、どちらかというといかつい男らしい精悍な顔立ちをしている。
どことなく女ぽい容貌の公爵とは好対照である。
しかし。
(いつ見ても、すごい格好だ)
もうとっくに三十は過ぎているはずである。
頭に無造作に巻きつけたどぎつい紫の布切れからは、艶のない灰色の髪がぴんぴんとはみ出している。片耳には重そうな金の耳飾り。
そして、なにより、その衣装。
真っ赤な胴着に鮮やか黄色のサッシュを締め、しかも緑のズボンをはいていた。着ている本人は、おしゃれだと悦に入っているようだが、誰が見ても頭が痛くなるようなとんでもない色の組み合わせである。
すこしばかり魅力的な顔立ちをしていても、この出で立ちではすべては台無しである。そして、彼の奇矯さは何もその出で立ちだけではないことくらい、それほど交流のなかったリュイスですら知っていた。
「何か御用でしょうか」
リュイスは内心恐る恐るたずねた。