年下の君に恋をして
翔を送った後、私は妊娠検査薬を使った。

結果は、やはり陽性だった…


次の日、会社に半日休を申請し、産婦人科へ行った。妊娠していて、6週目と言われた。

出産予定は、来年の春。

私はその足で区役所へ行き、母子手帳をもらい、会社に出社すると、昨夜書いた辞表を部長に提出した。

部長は目を丸くして驚き、理由を聞きたがったけど、私はあくまで『一身上の都合』を貫いた。

退職日は、規定では1ヶ月後のところを、我が儘を言って一週間後にしてもらった。

会社への迷惑を思うと申し訳ないと思ったけど、悪阻(つわり)がだんだん酷くなると、周りに隠す事が難しくなるから。

そして、知られる前に、翔の前から姿を消したかったから。


「ねえ、どうだったの?」

会社の帰りに、恵美と喫茶店へ入った。

恵美に妊娠した事。会社に辞表を出し、一週間後に退職する事を話した。

「えー!? もうそこまでしちゃったの? 何で私に相談してくれなかったのよ?」

「だって…それしか選択肢がなかったんだもん」

昨日から堪えていた涙が、一気に溢れ出ていた。
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