年下の君に恋をして
私が泣いてる間、恵美は隣で黙って私の頭や背中を撫でてくれていた。

「ごめんね」

「落ち着いた?」

「うん」

「これからどうするの?」

「田舎に帰ろうと思うの」

「という事は、産むんだ?」

「産むよ。恵美は、胎すべきだと思うの?」

「分からない。私だったら…やっぱり分からない」

「私はその事に迷いはないの。翔と私の子供を殺すなんて、出来ない」

「そっか。翔君には言わないつもり?」

「言わない。恵美も言わないでね、絶対に」

「私は言うべきだと思うな。だって、翔君にも責任があるんだよ。知る権利だってあると思うわ」

翔が知る権利…
私が唯一迷っているのは、その事だった。
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