年下の君に恋をして
「翔は悪くない。悪いのは私なの。私さえ気を付けていれば、こんな事にはならなかったの」

「そうよ。どうしてもっと、気を付けなかったのよ?」

「私ね、心のどこかで、翔の赤ちゃんを身ごもりたいと、思ってたみたい…」

「え?」

「妊娠したと分かった時、一瞬だけど嬉しかったの。自分でも驚いたわ。少し考えれば、だめな事だって分かるはずなのにね?」

いったん止まった涙が、また溢れ出した。

「有紀子…もう泣かないで?
泣き過ぎると、赤ちゃんに障るわよ」

「え? そうなの?」

私は俯きかけた顔をパッと上げていた。赤ちゃんに悪い事は、するわけにはいかない。

「嘘よ」

「もう…恵美!」

「ごめんね。でも、涙が止まったでしょ?」

「そうだけど…」

「有紀子はバカだけど、愛する人の赤ちゃんを産みたい、っていう気持ちは、分かる気がするよ」
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