年下の君に恋をして
数分走って、小さな喫茶店の前で車は停まった。

そして今、私はグレーのスーツを着た男性の向かいに座っている。

「夜分、突然にすみません」

「いいえ」

「私は、小田嶋翔の父親です」

「はじめまして。高木有紀子と申します」

私は小さくお辞儀をした。思った通り、その男性は翔のお父様だった。

「随分遅いご帰宅ですね。だいぶお疲れのようだ」

「仕事が忙しいもので…」

「本当ですか?」

「え? ほ、本当です」

お父様は、私が夜遊びで遅くなったとでも思っているのだろうか…

改めてお父様を見る。
顔は翔と似ていないと思う。翔の目は二重で、男の子にしては大きくて人懐こい目をしているけど、お父様の目は一重で細く、冷たい印象を受ける。
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