年下の君に恋をして
「今日持って行く荷物は、これだけ?」

「うん」

すぐに必要になる物や、貴重品なんかを詰めたバッグが4つになった。今日はそれだけ持って、実家に帰る。

その中には、あのボストンバッグもあった。
翔と温泉に行った時に使ったボストンバッグ。初めて翔と結ばれた夜と、その翌朝を思い出し、私は顔が火照るのを感じた。

愛車の赤いフィットをアパートの前に停め、荷物を運ぼうとしたら恵美に止められちゃった。

「有紀子は重い物を持っちゃダメ。妊娠初期は、特に気を付けなきゃいけないらしいわよ」

「そうなの? でもこれくらいは大丈夫でしょ?」

「ダメよ、油断しちゃ。そのために私が来たんだから。運転も私がするからね?」

「恵美には何から何まで、ほんとにごめんね」
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