年下の君に恋をして
玄関の扉をガラガラと開ける。

東京とは違い、昼間は扉に鍵を掛ける事はまずない。

「ただいま…」

と声を掛けながら、私はボストンバッグを持って家に上がり込んだ。

恵美は勝手が違うためか呆然としていて、私が荷物を持っている事にも、気付いてないみたい。

「恵美も上がって?」

「え? うん…あ、有紀子は荷物持っちゃダメ!」

「私の部屋はすぐそこだから大丈夫よ」

「でも…」

「お姉?」

玄関から妹の美穂子が入って来た。
美穂子は私の事を『お姉(おねえ)』と呼ぶ。ちなみに私は妹を『美穂』と呼んでいる。

「お姉、本当に帰って来たんだね?」

「恵美。この子が妹の美穂子よ。美穂、私の友達の松野恵美さん。ここまで送ってもらったの」

「はじめまして」

「姉がお世話になってすみません」
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