年下の君に恋をして
「悪阻は始まってるの?」

「うん。朝と、お魚の臭いを嗅ぐと特に…」

「そう? 有紀子はお魚、大好きだったのにね? ご飯は大丈夫なの?」

「それは大丈夫みたい」

「じゃあ、まだいいわね。私があなた達を産んだ時は、ご飯の臭いがダメで、苦労したのよ」

「うわあ、それは最悪よね?」

「パンや麺類ばかり食べてたわ。
来週、一緒に病院へ行きましょう? すごく評判のいい先生がいるのよ」

「そうそう。幸子先生っていって、若くて美人で優しい先生なんだよ。私も妊娠したらあの先生に診てもらいたいなあ」

「美穂子、まさか、あんたまで…」

「ないない。妊娠って一人じゃ出来ないもん。ね?」

と美穂は私に向かって言い、「美穂子ったら……」と母は笑い、私もクスッと笑ってしまった。
思えば実家に帰ってから、初めて笑った気がする。
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