年下の君に恋をして
「誰にそっくりだって?」

そう言ったのは、憮然とした顔の父だった。

「お父さんよ」

「それは俺か? それとも…この子の父親か?」

「さあ…」

「『さあ』って、おまえは…」

「悪いけど、お父さんには似てないよ。という事はお姉似じゃないから、謎の彼氏似だね?
この感じだと、お姉の彼氏は相当なイケメンだね!」

翔太の顔を、顔がくっつくほど近付いて覗いていた美穂が、父の顔をまじまじと見て言った。

「ふん。何がイケメンだ。男は中身が肝心なんだよ」

「まあまあ父さん、いじけないの。あ、もうお祖父さんね」

「おまえだって、おば…痛」

「言わせないわよ」

父は母にぶたれた頭をさすり、『痛えなあ』と言いながらも、とても穏やかな笑顔だった。
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