年下の君に恋をして

「重大ニュースだなんて、大袈裟ですね」

「ううん、そんな事ないわよ。町中の人が知りたがってるんだから」

「そうなんですか？」

「そうよ。町一番の別嬪さんが東京から帰って来たと思えば、未婚の母になっちゃったものだから、相手はいったい誰なんだって、ずっと話題になってるのよ？ いったい何人の患者さんから、あなたの事を聞かれたか…。もちろん『知りません』としか答えようがないけど」

「そんな、別嬪だなんて…。幸子先生の方が遥かに綺麗だと思います」

「あら、ずいぶんお上手を言うのね？」

「本当にそう思います。母も妹も…」

「はいはい、それは分かったわ。さて、どうしましょうね…」

「え？」

不意に幸子先生は、考え込むような仕種をした。そして、

「有紀子さんが秘密を話してくれたんだから、私も私の秘密を話そうかしら。それでおあいこにする？」と言った。