年下の君に恋をして
家に帰り、車から降りたところで私の携帯が鳴った。恵美からだ。

『もしもし、有紀子? 検診はどうだったの?』

「母子共に異常なしだった」

『それは良かったわね。でも有紀子、なんか元気なくない?』

「ねえ恵美。翔の連絡先知らない?」

前の携帯を解約してしまい、翔の携帯番号がわからなくなっていたので、藁をもすがる気持ちで恵美に聞いてみた。恵美が知ってるとは思えなかったけど。ところが、

『知ってるわよ』

と、あっけなく恵美は言った。なぜ恵美が翔の連絡先を知ってるのか不思議だけど、今はそれを聞いてる場合ではないと思った。

「教えてくれる?」

『やっと翔太ちゃんの事を、翔君に伝える気になったのね?』

「うん。ある人に言われて、早く伝えなきゃって思ってるの」

『ある人って?』

それはもちろん幸子先生なのだけど……

「それは今度話すわ。それより早く、翔の連絡先を教えて?」

『ん……その必要はないと思うよ』
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