年下の君に恋をして
「お待たせ〜。起きて?」

むくっと起き上がった翔の足の上に、おかゆが乗ったトレイをそっと置いた。

「熱いから、フウフウしてね?」

我ながら、おかゆが上手に出来たので、ワクワクしながら翔が食べてくれるのを待った。

ところが翔は、おかゆをジーッと見たまま、手を出そうとしない。

「どうしたの? やっぱりまだ食欲ないの?」

「違うよ。何だか、食べちゃうのがもったいない気がして…」

「大袈裟ね。第一、食べない方がもったいないでしょ?」

「分かった。じゃあ、いただきます…」

翔はスプーンをいったん持ち、またトレイに置いてしまった。

「どうしたの?」

「なぜか手に力が入らなくて…」

「うそでしょ?」

「ほんとだって…」

「困ったわね…」

「困ったよ。すごく食べたいのに…」

翔は上目遣いで私を見つめていた。
< 24 / 178 >

この作品をシェア

pagetop