年下の君に恋をして
私は仕方なく、ちょっとだけ口を開けた。恥ずかしいな…

「もっと大きく!」

翔が大きい声出すから、思わず口を大きく開いた瞬間、パクっとスプーンをくわえさせられた。

「どう?」

「美味しい…」

「じゃあ、もっとな。ほら、アーンして?」

アーンと口を開けかけて、ある事に気が付いた。

「翔、手使えるじゃない!」

「ばれたかあ。って言うか、気付くの遅くねえか?」

「もう…翔の嘘つき!」

「ごめん。有紀子に甘えたくて、つい…」

「お母さんみたいに?」

「………!」

一瞬で翔の表情が固まった。私、地雷を踏んじゃったみたい…

「冗談よ。お替わりしてくるね」

ベットから立ち上がり、キッチンでおかゆをよそって戻った。

「翔、ごめんね」

「え、何のこと?」

「翔…」

「これ、本当に美味いな?」

翔は自分でスプーンを持ち、黙々と食べはじめた。その顔に、さっきまでの笑顔はなかった…
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