年下の君に恋をして
「明日? だめよ。翔は病み上がりなんだから。お家で大人しくしてなさい」

「ちぇ。じゃあ明後日」

「明日も明後日も同じ。今週はだめよ」

「じゃあ来週な?」

"今週は"という私の言い方に、翔はすかさずそう言った。私自身、翔とお出掛けしたいという気持ちになっていたので、

「ん…分かったわ」と私は答えた。

「やった!」

「どこ行きたいの? 海? 山?」

「山がいい。温泉入りたい」

「あら、なんか意外ね?」

若い男の子が温泉に行きたがるって、ちょっと珍しいと思ったのだけど、そうでもないのかな。

「有紀子は嫌なのか?」

「ううん、私も温泉は好きよ。でも、日帰りはちょっとキツイかな…」

「旅館に泊まればいいんじゃないか?」

「そんな簡単に言うけど、色々と問題あるし、今から旅館を予約出来るか分からないし…」

「何とかなるだろ?」

「ん…やっぱりだめよ、泊まりなんて。ちょっとキツイけど、日帰りしましょ?」

「分かったよ。じゃあ金曜の夜に有紀子の家に行くから」

「え? 家に泊まるの?」

「ああ。そうすれば、土曜は早く出発出来るだろ?」

「それはそうだけど…」

無理して日帰りにした意味がないような…
まあ、いいか?
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