年下の君に恋をして
「この辺りでいいよ」

翔にそう言われて私は車のブレーキを踏んだ。

「ここには塀しかないけど、いいの? お家の前まで行くわよ?」

「ここでいい。俺ん家はこの塀の向こうなんだけど、家の奴に見つかるとうるさいから」

「そう? じゃあ、金曜の夜ね?」

「おお」

翔は車を降りて『じゃあ』と手を挙げたので、私も『バイバイ』と手を振った。

翔はニコッと笑い、『その前に行くかもな』と言って車のドアを閉めた。

「え? それはいつ?」

私の声は聞こえなかったようで、翔はスタスタと行ってしまった。
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