年下の君に恋をして
「あ…、そ、そうよね?」

「何だか知らないけど止めとくよ」

翔は首をひねりながらベルトを締め直した。

「きょ、今日はどうしたの?」

「おまえ、何か変だぞ。さっきから噛み噛みだし」

「そ、そうかな?」

「ほら、まただ」

そう言って翔は可笑しそうに笑った。私はその笑顔に胸がキュンとした…

「有紀子に会いたいから来た」

「え?」

「さっきの答え」

「ど、どうして?」

また噛んじゃった。

「会いたい気持ちに理由が要るのか?」

「それは…」

「有紀子は俺に会いたくないのか?」

「そんな事はないけど…」

「けど? 特に会いたくもなかった?」

「ん…まあ、そうかな」

「そっか。じゃあ、帰る」

「え?」

翔はブレザーを拾い、背中を向けて歩き出した。
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