年下の君に恋をして
「待って!」

私は反射的に、翔の背中に抱き着いていた。

「帰らないで? 私も本当は会いたかったの。あなたに…」

考えるより先に体が動き、言葉を発していた。私はこんなにも翔を、好きになっていたんだ…

翔がくるっと振り向いた。

「有紀子も、俺と同じ気持ちでいてくれたんだね?」

「うん」

私は俯いたまま頷いた。

「顔を見せて?」

「いや」

「どうして?」

「恥ずかしいから」

「あっ」

翔に両手で顔を挟まれ、上を向かされてしまった。

「なんで泣きそうな顔してんだよ?」

「だって、私みたいな、オバさん、ん…」

『オバさんがみっともない』と言おうとしたけど、途中で翔に口を塞がれてしまった。翔の、柔らかい唇で…
< 47 / 178 >

この作品をシェア

pagetop