年下の君に恋をして
それは、ほんの1秒か2秒か。あるいは、もっと長かったのかも…
突然のキスで、私は頭の中が真っ白になり、思考が止まっていた。

「ごめん」

その翔の言葉で、私はようやく我に返った。

見上げると、翔は顔を横に向けていた。耳から頬にかけてを、真っ赤にして…

「翔?」

「ごめん。でも、有紀子が悪いんだぞ」

そう言って私に向けた翔の顔は真剣で、目が怒っていた。

「何が?」

「自分の事、『オバさん』とか言うな。俺の事を、ガキ扱いするな!」

「だって、10歳も違うんだよ?」

「また言った。お仕置きだな」

「え?」

ゆっくりと翔の顔が近付いて来た。避けるべきだと思ったのだけど、意に反して体は動かず、2度目のキスを私は受け入れていた。

翔の唇は柔らかくて、温かくて、ミントの味がした。
そして翔の舌が遠慮がちに私の唇に差し込まれると、私は自分の舌をそれに絡めていった。
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