年下の君に恋をして
君が愛しくて
私は愛車の赤いフィットで翔を送って行った。そして、今回も翔は家の門より手前で車を降りた。家の人に見られたくないからだと思う。

「じゃあ、今度こそ、金曜日な」

「そうなの?」

「その前に来てほしい?」

「べ、別に…」

「素直じゃねえなあ。メールするよ」

「うん、待ってるね」

『じゃ』と車のドアを閉めようとしたところで、『あっ』と呟いて翔の手が止まった。

翔は、前を走り過ぎる車のテールランプを、じっと見ている。

「どうしたの?」

「え? あ…言い忘れてたけど、今度の土曜は俺の誕生日なんだ」

「まあ。何かほしい物ある?」

「ん…有紀子がほしい」

「な、ふざけないで!」

「あはは。何も要らないよ」

「そうなの?」

「ああ。じゃ、おやすみ」

「おやすみなさい」


翔は17歳になるのか…。じゃあ、9歳差になるのよね? 私が27になる12月までだけど。

プレゼントは何にしようかなあ。翔は何も要らないなんて言ってたけど、そういう訳には行かないわ…
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