年下の君に恋をして
でも、恵美が来て、その手をやんわり外してくれた。

「野田さん。私と食事行きましょうよ〜?」

そう言いながら恵美は、私に『行きなさい』と目で合図をくれたので、私は胸の前で手を合わせ、小走りでその場を後にした。


少しして、恵美から携帯へ電話が来た。

「恵美、さっきはありがとう」

『もう…! 用事があるとか、上手にかわせば良かったのに…』

「私もそうしようかなとも思ったんだけど、はっきり言った方がいいと思ったの…」

『まあね、結果オーライだけどね?』

「野田さんと食事中?」

『違うわよ。チャンスだったんだけどな…』

「チャンス?」

『何でもない。こっちの話。野田さんはあの後、ガックリ肩を落として帰って行ったわ。今頃は、一人でやけ酒飲んでるんじゃない?』
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