年下の君に恋をして
「きゃっ」

じゃがいもの皮剥きをしていて、包丁で指先を切ってしまった。涙で手元が霞んだからだ。

「痛い…」

傷はほんの小さな物だったけど、悲しくなるほど痛かった。

「大丈夫か?」

いつの間にか翔が後ろに来ていた。

「うん。ちょっと切っちゃっただけ」

翔は私の左手を持ち、血が出ている人差し指を、パクッと口に咥えた。

「翔…」

何だか、恥ずかしい。

「絆創膏ある?」

「うん。救急箱の中に…」


翔は私の指に絆創膏を巻いてくれた。

「これでよしと…。まだ痛い?」

「ううん、もう痛くない」

「泣くほど痛かったのか?」

「え?」
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