年下の君に恋をして
低いヒールを履いていてまだ良かったけど、男の子に合わせて走るのはしんどかった。

路地の角を曲がった所で、白Tシャツの少年は急に立ち止まった。

「ここに隠れよう?」

「え? きゃっ」

少年に手を強く引っ張られ、誰かの家の庭に入り込み、少年に頭を押さえられて庭木の陰にしゃがんで隠れた。

「ちょっと…」

「シー。静かにして」

その直後、私達を追って来た少年二人の走る音が近付き、そして遠ざかって行った。

「行ったみたいね?」

「だな」

「でもさ、君は強そうなんだから、逃げなくても良かったんじゃない?」

ショウと呼ばれた白Tシャツの少年は、下を向いて荒い息をしている。私も走ったため息が上がっているけど、その子ほどではない。

「あれが……限界、だったんだ」

「え?」

少年の体がグラリと揺れ、私の方に倒れ掛かって来た。

「きゃっ」

そのはずみで私は仰向けに倒れ、胸の辺りに少年の頭が乗る格好になった。
< 7 / 178 >

この作品をシェア

pagetop