年下の君に恋をして
「泣いてただろ?」

「翔…。私達、やっぱり…ん」

『やっぱり、付き合えない』って言おうとしたら、翔にキスで口を塞がれてしまった。

翔の舌が私の中に入って来て、乱暴に掻き回す荒々しいキスだった。

「言わせない」

息を整える私に翔が呟いた。翔は、私が何を言おうとしたか、気づいていたみたい。

「俺達が別れるのは、どちらかが嫌いになった時だけだ」

「翔…」

「俺は有紀子を、泣かせてばかりだな?」

翔は私の頬を伝う涙を親指で拭いながら、悲しそうな目でそう呟いた。

「俺は有紀子に出会えて良かったと思ってる。そして有紀子といると、どんどん好きになる。もうこの気持ちは止まらない。止めたくない」

「私も翔が、好き。諦めなきゃいけないと思うのに、そう思えば思うほど、ますます好きになるの」

「諦めるなんて言わないでくれ。今の俺はガキだけど、急いで大人になるから、待っててくれ」

「ううん、翔は大人だよ。むしろ私の方が子供だと思う」
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