年下の君に恋をして
目指す温泉地の少し手前。ちょうどお昼時なので、どこかでお弁当を食べたいと思っていたら、ロープウェイが目に入った。

「翔、あれに乗ろうか?」

「いいね」

お弁当のバスケットを持って、二人でロープウェイに乗り込んだ。

定員は10人ほどだろうか。
家族連れや年配の夫婦や年配の女性同士とかの人達が乗っていた。

カタカタカタとゆっくり登って行くロープウェイに揺られながら、外の景色を眺めていた。

「歩いてみたいな…」

翔がポツリと言った。

「そう? じゃあ、帰りは歩く? 歩けるのかなあ」

「歩けますよ」

「え?」

声がした方を見ると、年配の女性がニコニコして私達を見ていた。

「若い人の足なら、1時間も掛からないで降りられるわよ」

「そうなんですか? ありがとうございます」

「どういたしまして。ごきょうだい?」

「え、まあ…」

「いいえ。俺達は恋人同士です」

翔がそうきっぱり言うと、周りの人達が一斉に私達を見た。恥ずかしい…

「あら、ごめんなさい。素敵なカップルね」

とフォローはしてくれたけど、明らかに驚いた顔をしていた。
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