年下の君に恋をして
「翔ったら、強引なんだから…」

「ごめん。でも、日帰りはやっぱりキツイと思ってさ」

「それはそうだけど、お家の人には何て言うの?」

「後で適当にごまかしておくよ」

「それと、宿代は私が出すからね?」

「それはいい。車を有紀子が出したんだから、ここは俺が持つ」

「だめよ。第一そんなお金あるの?」

「カードだよ、見ただろ?」

「翔のカードなの?」

「そうだよ。宿代ぐらい、全然平気だから」

「すごいのね?」

「そうでもないよ」


女将さんに部屋を案内してもらった。
和室で、いかにも温泉宿という感じの部屋だ。窓の下には川が流れている。紅葉の時期なら、さぞやいい眺めだろう。

「こちらにお名前と住所をお願いします」

女将さんから宿帳を渡され、私が躊躇してると、翔がペンを持ち、すらすらと書いた。

「はい、姉さんも書いて」

私は翔からペンを受け取り、『小田嶋翔』の隣に、『小田嶋有紀子』と書いた。
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