年下の君に恋をして
部屋に戻ると浴衣に着替えた翔がいて、二人分のお膳が用意されていた。

「ごめん、待たせちゃったみたいね?」

「女の風呂は長いって、ほんとなんだな」

「そんなに長かったかなあ」

「うそ。そうでもないよ。さあ、食べようぜ」

「うん」

翔の前に浴衣の裾を整えて座ると、翔がグラスを差し出した。

「どうして、ビール?」

「俺が頼んだ。さあ…」

私は遠慮がちにビールを注いでもらった。

「私もコーラで良かったのに…」

翔のお膳には瓶のコーラが乗っていた。

「俺にも、ちょっとだけくれる?」

翔がグラスを持ってはにかんだ顔をしている。

「飲めるの?」

「分からない」

「じゃあ、少しだけね」

翔のグラスの半分ほど、ビールを注いだ。

『乾杯〜』

私はゴクゴクと、ビールを喉に流し込んだ。やっぱり、湯上がりのビールは最高だなあ。

「ああ、美味しい!」

「う…、苦い…」

顔をしかめる翔を見て、思わずクスッと笑ってしまった。
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