空と海の真ん中で
「お・・墓?」
「あぁ」

彼は短く答えて
再び歩き出した。

嫌な予感がした
それでも私は歩みを止めなかった
嘘だと
信じていたかったから・・

きっと
家に行く近道が此処なんだ

と、自分に言い聞かせて

でも
そんな期待は簡単に壊された





「これが、今の兄貴の姿だ」

着いた場所は
ひとつのお墓の前
其処には、「咲本家」と彫られていた



「うそ・・・」



そっとお墓に触れる
何の温もりも感じられない
ただの石
彼の姿が見えない
あの日のように笑ってくれない

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