空と海の真ん中で
最低、最低だ・・・
私も・・・彼も・・・

何で気づかなかった?
何で気づけなかった?

好きになった人なのに
好きな人なのに
何で別人だって気づけなかったんだろう・・・

「おい!!待てって!!!」
「――・・・ッ」

腕をつかまれて動きを止められる
振りほどこうにも
彼の力は強くて
その腕から逃れることは出来なかった。

「離してよ!!
大体あんたはなんなのよ!
何で海斗くんのフリなんかしてるのよ!!」
「落ち着けって!!!」

彼はそういって私を抱きしめた。





あの日の海斗くんのことを思い出した
抱きしめた海斗くんの手も
今の彼みたいに微かに震えていた

「オレは、咲本太陽。海斗の・・・双子の弟だ」

あぁ
だから彼はこんなにもあの人に似ているのか・・・

焦っているはずなのに
何処か冷静な自分がいた。
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