Fly-Time
「………何で、わざわざそんな決めなきゃいけないの?」


夏美は少しムッとしながら言った。


「だって、そうだろ。このままぼやぼやしてたらここの人たちにも迷惑かかるだろ。時代からして大変な時期なんだし」


「でもさ、元の時代に戻る方法を探すって何かあるの?」


「それは………」


大貴は何も言い返せなかった。


「変にこそこそ動いていたらそれこそバレるよ。バレたら私たち、この時代にいられなくなるよ」


「……じゃあ、お前はこの時代で一生を過ごすって言うのか」


「……そんな、怒って言わなくたっていいじゃん」


部屋の空気が悪くなってくる。


夏美はこの空気が苦手だ。


小さい頃から人とに付き合いが苦手な夏美は部屋の隅っこにいた。しかし、だからこそ悪い空気は人一倍キツかった。


「じゃあ、どうすんだ!!」


大貴の怒声が部屋に響く。


「そんな大声出さなくたっていいじゃん!!じゃあ山口はどうするつもりなの!!」


「じゃあお前はこの時代で一生を終えるって言うのか?!」


「そんなこと一言も言ってない!!私だって元の時代に戻りたいよ!!」


「だから方法を探そうって言ってんだ!!」


「そんな簡単に見つかってたら今頃元の時代に戻ってるよ!!」


夏美は涙目で言った。


「出て行って!!二度と私の前に姿を現さないで!!」






< 43 / 60 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop