Fly-Time
「行ってきます」


その日、土方は局長の使いでよく行く着物屋へ行った。


「ったく、あのヤロー人使いが荒いったら……」


少し前のことだった。


「頼む、夏美に着物を買ってやりたいんだ。お千代のお古だけじゃかわいそうだし。な、頼む」


お千代とはお手伝いさんのこと。


「気持ちはわかりますが……自分で買いに行けば……」


「俺みたいなおっさんが買うよりお前が渡した方が夏美も喜ぶだろ」


めんどくさそうに歩く土方の前に2人の男が立ちはだかった。





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