Fly-Time
(えっ………)


ごしごしと目をこすってよく見た。


やっぱり着物姿だったのである。


夏美はこっそり騒ぎのする方へ歩いて行った。


(あの人たちなら何かわかるかもしれない)


そんな期待をしていたのである。


夏美は耳がいいため、少し近づけば何を言っているかがよく聞こえた。


そのとき、


「うわっ!」


すてーんと見事に転んでしまったのである。


まぁ、真っ暗で視界が悪いから無理も無いね。


騒いでいた人たちは一斉に夏美を見た。


「いったぁ……」


夏美はおかまい無しにつぶやく。


「あのぅ………」


「はい?」


おそるおそる夏美に1人の男の人が問いかける。


夏美は素っ頓狂とも言える声で返事をしたのである。


ホントにこの人大丈夫か、頭。
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