Fly-Time
「あなた………どこの人ですか?」


「はい?」


夏美は状況が全くわからないという風に返事をした。


「こいつ、妙な格好していやがる。どっかから迷い込んだ異人じゃねぇのか?」


もう1人、男の人が夏美に聞いてきた。


「えっ、いやっ、私日本人………」


夏美の答えを聞く前に男は刀を取り出していた。


「ひっ………」


夏美は身動きが取れなくなった。


すると、最初に声をかけた人がしゃがみ込んでこう聞いた。


「もう1度聞きます。あなたはどこの人ですか?」


人間とは不思議。窮地に立たされた状況では意外と冷静になれるもの。


(着物に刀に異人………ってことは現代じゃないな、ここ)


あっさりと結論が出てきたのである。


(ああ、私タイムスリップしたんだ)


「………覚えてないんです」


結局、夏美はこう答えるしか無かった。
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