Love story
「そういえばさ、」
「あ?」
「敦って3組の美野さんと付き合ってるの?」

少しだけ不安になっていることを悟られないように、テレビに視線を向けたまま問いかける。
敦があたしを見たのを感じる。



「知ってたんだ。」
「じゃあ付き合ってんだ?」
「…付き合ってた。」



付き合って“た”。
じゃあ今は…付き合っていない?



「え、どういうこと?」
「別れた。」
「いつ…。」
「さっき。」
「何で…。」



敦は野球バカだけど、英語以外は勉強だってできる。
顔も良い方。
美野さんが告白するくらいだし悪くない筈。
それに、昔から敦は優しい。
付き合ったらちゃんと女の子を大事にする人だと思う。
なのに、何で…。



「会えねぇから…。」
「…。」
「俺野球部だし、練習ばっかで中々会えねぇじゃん。
それが嫌みたいで、別れようって。」
「でも野球部って練習時間多いって有名じゃない?
野球部員と付き合ってる子、よく愚痴ってるし。」
「思った以上に多かったんじゃねぇ?」
「…傷ついてないの?」



声はいつもより少し低いけど笑顔を浮かべている。
まるで何事もなかったかのように話す敦を見て疑問を感じた。
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