だから君に、恋をする。
よろしくは漢字で。
――一つだけ、誤算があった。

「久しぶりね、俊樹くん。」
「…おう。」

どうやら寝てしまっていたらしい。時間はあの時と同じ、6:50をさしていた。

「天川はいつもこの時間にこの教室に来るよな。」

戸締まりでもしているのだろうか。マメな奴だな。と、一人で感心していると。

「そういう俊樹くんは珍しいわね。」

いつもはいないのに、そう呟く声を聞いて、内心ほっとした。俺のこと、気にしてんだ。

……勇人のためにも、やはり天川とは仲良くするべきだよな。いずれ、勇人と彼女になるわけだし。

「…あ…天川が、気になって。」

…自分で言って、びっくりした。それは、あまりにもすんなり喉を通ったから。

「……」
「あ、へ、変な意味じゃねぇぞ?あー、い、いつもこの時間ここで何してんだろ、って」

しまった。咄嗟のごまかしにしては、失礼だったか。だって天川は戸締まりで――…、



「……何時から?」

「…え?」

―――ぞくん。
なんだ、今の。なんか、感じたことあるような、あぁ、そうだ、これは、

「あま…かわ?」

「……やっぱり、野放しにしなくてよかった…。」

すう、と。綺麗に弧を描く腕が、指を重ねる。

「…ねぇ。」

凛とした声に曇りはない。むしろ、この教室に曇りをつくるように――、


「何時から気付いてた?」
「――!」


――一瞬、だった。ぱちん。鳴る指と共に、黒い影が俺の周りに展開し――。


「―…これ…は…!」


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