だから君に、恋をする。
……………
「いんやー可愛かったな天川さん!あなたたち、何をしてるの?だって!」
「言ってろ阿保勇人」
帰り道。ゆるゆるな勇人の顔を横目で見つつ、ため息をついた。
『あなたも。またね、俊樹くん』
…あの、顔。
おしとやかな委員長の顔じゃ、ねぇ。いかにも黒い、あの笑み。今思い出しても吐き気がする。
「それでさぁ、天川さんのあの…。」
そう、そんな崇高なものじゃない。
天川カレン。
あいつ、一体――。
「…俊樹!」
「!」
いきなり響いた声に、耳がなる。
「俊樹、聞いてたかよ俺のハナシ。」
「…あ、いや…悪い、なんだっけ。」
むすぅ、と、寄せられた眉に思わず作り笑いをする。ヤバイヤバイ、勇人じゃあるまいし、天川カレンのことは忘れよう。
「もー、阿保俊樹!いいか、よーく聞け。」
誰が阿保だ平凡ノーベル。
なんていうのは心に閉じ込めた。あぁ、心の海に深く沈めてやったさ。
「来週は何がある?」
「…?」
「馬鹿!クラスマッチだ!」
「…あー……。」
クラスマッチ。
わかりやすく言うなれば、"クラス対抗でなにか競技をする"もの。
と、なると…。
「クラスマッチは俺が天川さんに魅力を見せつけるいい舞台だ…!」
…やっぱりか、体力馬鹿。
「…よかったな。」
「天川さんのクラスと当たればいいんだけどなー。そればっかりはなぁ…。」
まぁ運動神経はいいんだし、ヘマとかはしないだろうが。
…まったく、天川カレンの好みが運動神経いい人、なんてことはわからないのに計画するとこが、こいつらしい。
「まぁ、応援はしてやるよ。頑張れよ勇人」
「あぁ!さんきゅな俊樹!」
…そのまま。
嬉しげに満面の笑みを浮かべた勇人と、じゃあまた明日、を最後に別れた。
…天川、カレン……か。