【短編】運命の糸
「おっさん、この糸、ハサミじゃ切れないんだけど。」

武志の声に占い師は顔をあげた。

「そうか、縁を切ろうとしたか。」

武志は頷いた。

「許せない奴がいてさ、もう縁を切ろうと思って。」

「…そうか。だがな、兄ちゃん。縁は切ってしまったら二度と戻らんぞ。
それでもよいか?」

「あぁ。構わない。」

武志のその言葉を聞き、占い師は武志にハサミを渡した。

それはまるで裁縫の時に使う小さな糸切りハサミのようだった。
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