レス―Q
「悪魔の誘い―17」






「火事の苦しみ?

罪がない?」










一瞬、
ゾクリとする間が空いた。









Qの目が、
それ程真剣な暗き瞳で
見つめたからだ。








「面白い……」









Qは己の仮面を、
ガシッと掴んだ。









そして…

おもむろに……




その面を、
ズズズっと顔から
離してゆく…









ゆっくり……


ゆっくりと……









そして…


ついにQのその素顔が、

光もなき不気味な闇に
ユラっと浮かび上がった。










「うっ……!」










見せたその顔……










いや…

もう顔と呼べる代物では
なかった…









顔面全体は、
耳はなく、
唇は半分失われ
ガイコツの様な歯が
露出して、
髪の毛も眉毛も
黒く膿んだかさぶたで
塞がれており、

それはドロドロに溶けた
ゾンビのような顔で、

人間と呼べる姿は
まるでなかった。










「お、お前は……」










そんな顔に、
ウップと吐き気を
覚えた九古は、
後退りをする。










化け物に会った方が、
まだカワイイ。









それ程までに、
恐ろしい顔をしている。








そのまま不気味に、
溶けた唇が動いた。








「小さい頃に起きた
火災でね……

私は顔全体に、
取り返しのつかない
火傷を負った…」
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