レス―Q
「悪魔の誘い―19」







しかし…








九古は握手に
応じなかった…









「Q……

お前がしている事は、
復讐で思い出を
埋めているだけだ…

そんな事しても
何も意味はない」










差し出した手を、
まだQは空中で
止めたままにしており、

そのままの姿勢で
固まっている。









「…君なら、
分かってくれると
思ったが…」









そう残念そうに呟き、
再び起爆装置を見せた。









「では、
君には
死んでもらうしかない。

あの世から二人で、
この世の地獄を見るのも
悪くない…」










そのスイッチを押す前に、
九古は一言声を掛けた。










「…あんたも辛い思いを
したんだな……


確かに俺も幼い頃は
化け物扱いされて、
辛い思いをした。

だけど、
そんな思いをした分、
誰かに同じ目に
合って欲しくないと、
消防の道を選んだ…

苦しいのは、
悲しいのは、
自分だけで十分。

それが俺の生きる道だ」










辛いから、
他の人にも同じ目に
合って欲しくない九古と、

辛いから、
他の人にも同じ目に
合わせたいQ…










同じ境遇でも、
2人は全く正反対だった
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