レス―Q
「悪魔の誘い―22」







最初の爆風では、
九古に傷一つ負わせて
いない。









炎が効かないので、
当然だ。









問題はその後。






熱で膨れた窓ガラスの
飛び散ったものが、
容赦なく九古に
襲いかかり、

あらゆる方向から
吹き飛んで来る物は、
流されるまま
打撃を受けていた。










「グ………ク………」










とりあえず、
爆風は最初だけなので
収まったみたいだが、

炎から発する黒い煙と
今にも崩れそうな建物が、
命の危機を知らせる。









しかも、
足にダメージを
受けたようで、
思うほどうまく歩けない。









ガラスの破片で
血だらけになりながらも、
九古はフラフラと
脱出を試みる。










しかし、
あまりに燃える
炎のせいで、

自分がどこを歩いているか
分かったものじゃない。










同じ所をグルグル回って
いるような、

そんな感覚もしていた。











「やべえ………な…」










何度、
この火災の場面を
経験したろうか?










幾度と繰り返している内に、
今の自分の状況も
予感できる。









助からない……









その文字が、
頭に浮かんでいた
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