レス―Q
【消防の心得-3】





試験官は
そこまで消火活動を望む
強い意思に惹かれ、

今一度九古の顔を
じっくりと見つめた。







すると
何かおかしな事に
気が付いた。







「君……失礼だが
両親は外国の方かな?」







そう言うのも
九古の肌は
普通の日本人より
色黒く見え、

それだけではなく
マダラ模様の様な
おかしな素肌を
さらしていた。






この質問に
慣れているのか、

九古は
そう聞かれたワケに
すぐ気付き、

自分の肌を触りながら
答えた。







「これ…ですか?

これは私が小さい頃
全身火傷を負い
その時の名残が
まだ残っています。

ですので、
決して外国の血が
流れているワケでは
ありません」







「ああ…そうかそうか
ごめんな」







試験官も
ちょっと悪い事を
聞いたなと思い
軽く謝りを入れる。







しかし、
この青年。






こんな肌になるくらいの
火傷を負い、
更には冷静な判断を
持っているような性格。






火の怖さも
人一倍知ってるので、

消火業務に就くには
理想の人物像である。







それ以外は
やらないくらいと

消火業務に対する
熱意もあるので、

こんな良い人材は
手放さないと
試験官は言った。








「分かりました…

今年体を壊した職員も
いるので、
万が一空きが出ましたら
連絡を差し上げます」







そう言い
この後も数回質問に答え

今日の面接は終了した。







そして、その後

合格通知の連絡が
来たのは
冬に入ってのこと。






この連絡が、

今後
九古のこれからの
人生にとって

いいものか
悪いものか

それは本人自身も
分からなかった……
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