レス―Q
【発揮した力-12】






「ちくしょう……

後輩が………」









そう言って
地面を叩いているのは
西沢だ。










一番に
面倒を見てきた上、

炎に突っ込む九古の手を
離してしまった事に
無念の意を表してるのだ










今自分も行けば、
確実にミイラ取り。


『死』は
間違いないであろう。








だからこそ、

分かっているからこそ、

行きたくても
行けれない気持ちが
心を掻きむしった。








悔やみ続ける西沢。

そんな中、
突如として
仲間が声を上げた。









「オイ!人影だ!!」









指を指す南原に
一つの影が見えていた。








ボボボボ………









その揺らめきの中

1人の青年と、
抱きくるまれた
小さな塊が見えた。









それは、
先程炎に飛び込んだ
伊勢隊員の姿であった。









「キュー!!!」









皆がそう言うと、
九古はくるまれた塊の
一枚一枚布を剥がす。








中から出てきたのは
小さな子供。



目が
パッチリ開いてる事から
生きていることが分かる









「美奈!!!!!」








先程泣きついてきた
母親はハッキリと
名前を呼んだ。









「ママー!!!」









子供は自分から
九古の腕を飛び降り、

求める母親の胸に
飛び込んだ。









歓喜のあまり、
泣きじゃくる2人。









そんな姿を見て、
九古はほのぼのとした
安堵の表情で
見守っていた
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