レス―Q
【発揮した力-13】





「………で?」







とある消防署の一室で
望月はセンスを
ポンポンしている。







目の前には
西沢と九古が
2人並んで立つ。







あの家事から一変して、

今は
のどかな昼時の
涼しい部屋にて、
説教をくらっている
ところだ。







いくら
救助活動とは言え、

耐火服を脱ぎ捨て
炎に飛び込んだとなれば
怒られるに決まっている







命を粗末にするな
との事だ。








「そう言うワケで、
私が付いていながら
スミマセンでした」








深々と頭を下げる西沢。







九古の方は何も言わず
頭だけを下げている。






反省の色がないと言うか

自分は何一つ
間違った事をしていない
と言うか、

とりあえず
頭だけ下げている
といった感じである。







それはそうだ。

自分の信念のままに動き

命を救うことが
何より誇らしくさえ
思えるくらいだからだ。







言葉でも
スイマセンとは
ハッキリは言わなかった







そんな
冷ややかな感情に戻った
九古は、
こんなやり取りを
早く終わらせたかった
のである。







だが、
望月の言っている
真意はそんな事ではない

今は九古が
気付いていない
大事な事だが、

とても大事な事を
望月は教えようと
していた。







しかし、
まだこの頃の彼には
気付くに至らなかった。







「もういい。

今回は小さい子供を
助けたし、
相手の親からも
礼をいただき
表彰もされるけど、

今後、
行き過ぎた行動は
慎むように。

何かあれば仲間を
頼りなさい」








そう言われると九古は
ハイと感情のない
言葉を吐き、

再びペコリと頭を下げた
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