レス―Q
【消防の心得-4】





それから次の年の事――






厳しい研修過程を経て
九古は
ここ南片瀬消防署に
配属された。






希望通り
消防吏員の枠があり、
彼の熱意に応えての
ことだ。







そして、
ようやく消火隊の
チームに入ることが
許された。






まだ一度も
消火活動の業務に
携わっていないが、

いくらやりたい仕事
だと言っても
火災を望むのは
おかしな話であるので

辛抱強く
いざという時を
待っていた。






「キュー!

良かったなあ
ようやく念願の
業務だぞ」






そう同じチームの
先輩が言う。






このキューとは
九古のあだ名。






消防署に入って
初日早々
勝手に付けられた
ものだ。






それ以来
みんなだいたい
そう呼んでくる







「ありがとう
ございます。

先輩方の役に立つよう
やりますよ」






まだ少し表情が固い
九古。






これは
まだ入りたてだから
緊張してるワケではない






誰に対しても
あまり自分の表情は
崩さないのが、
彼の性格であるからだ
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