レス―Q
「探し求めた敵-4」




ウーウー…






外から
パトカーか消防車か
分からないサイレンが
流れてくる。






カラオケボックスに
居るが、
談笑してカラオケを
していないので、
外の音も微かに
聞こえるのだ。






「あー出動じゃない?
消防士さん♪」






冗談混じりの言葉を
西沢は笑って返した。






「いやいや、
違うチームの奴らが
やってくれるよ。

俺らも休まなきゃ。

プライベートが
あるんだから」






「そうだよね~

自分の時間にまで
火事なんて
考えないもんね~」






………






その会話を聞いていて
自分は何故こんなとこに
居るんだろうと
九古は感じていた…






俺は……

それでもいい…






プライベートでも
何でも火事を撲滅する…


それが目的で
消防署に入ったんだ。






こんなとこ…

もう居られない。






九古はどうしても
火事が気になり、
署へ戻るのを
自分の中で決めた。






スッと立ち上がり
荷物を持つ。






それを見て西沢が
声をかける。






「どうした?
トイレか?」






その返事として
九古は机にお金を置いた。






「スミマセン…
やっぱり俺帰ります」






「え…?
お、おい…」






引き止められないように
そのまま
パッパッと部屋を出て、

カラオケ屋を後にした。






「ふうっ…」






外に出ると
そう深く息をつく。






こんな風に
ため息が出ると言う事は、
窮屈に感じていた証拠。






やはり自分は
火事の事だけを
考えていたい。






こうして
九古は歩いて
署に向かうのであった…
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