レス―Q
「火のスペシャリスト-10」




そう考えたら、
余計許せねえ…!!







あの火事の為に
女の子の心に
深い傷を負わせた事が、

何より怒りを
沸き上がらせる。






ジリジリ距離を
詰めようとすると、
男はを焦げた紙を
目の前に差し出した。






何の紙だ…?






そう見ていると
ソイツは説明をし始めた。






「私は
火のスペシャリストでね…

この部屋はさっきまで
『燃えていた』

鎮火させたがね…

煙を外に出さないように
工夫してあるから
誰も燃えていた事を
気付いていない…

だから仕込みもできた。

お前が入って来る
部屋の入り口も、
扉が二重構造に
なっているから
『現象』は起きなかった

そんな部屋の
仕組みだから
この場所を
『選んだ』のだよ」






???






何を言っているのか?






だがまあ
火のスペシャリストだか
何だか知らないが、

何の実験をしたとこで
こちらは炎は効かないので
全く無駄な事である。






更にジリジリ
近付こうとすると、
男はポツリと呟いた。






「一応忠告しとこう。

それ以上近付くと、
君の危険区域だ」






いきなりなんだ?






ハッタリか?

それとも
そう言うことによる
心理作戦か?






どういう事か
分からないが、

実はどちらにしろ
そう易々と
飛び込むつもりは
全くない。






今こうして
距離を詰めているのは、
相手の陽動やスキを
誘うため。






昨日の今日なので、
焦ったら負けてしまう。






そうすると、
余計に冷静になり
相手の作戦が
分かってくる。






女の子の話で怒りを誘い
飛びつこうとさせる…

そんな見え透いた罠に
みすみすかかる
ワケがなかった
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