レス―Q
「火のスペシャリスト-11」






飛び込めば
九古の負けだが、

それをしようとしない
九古を動かす術を
男はすでに持っていた…








「…私の放火で
生存者が出たのは
これで二人目だ。

今後とも
邪魔はしないで
くれたまえ…

それだけだ」









「…二人目?」









九古がそう聞くと…

いや男は
必ずそう聞いてくると
確信して答えた。









「2人目は君が助けた娘だ。

そして……

最初の……
1人目の生存者は
今どこにいると
思う?」









ドックン…

ドックン…








何だ?

急に心臓の鼓動が
早くなった。








心理作戦だが知らんが、
こうもドキドキするもの
だろうか?









「知らねえよ…

どこの誰だか
俺には関係ないね」








すると男は
その言葉に失笑する。









「フフ…
『関係ない』?

ソイツは今…
体に障害を持ち
その力を生かして
私の前に
立ちはだかっているがね…

関係ないとは
面白い事を言う…」









一瞬理解出来なかった。


否定したかったのかも
しれない。









頭が白くなった
状態になっていると、
更にそこに
ハッキリと事実を
つきつけられた。









「自分自身の事をな。

あの火事以来か?
元気に育ったものだな。

私の放火生存者の
一番目の子よ」









ドックン…

ドクン!!!









信じられない言葉が
九古の心に響いた
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