甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「裕子、明日は予定あるか?」

「何もないよ」

「じゃあ、俺と出掛けてくれるか?」

「うん、いいよ。デート!?」

「いや、違う」

なんだ…。ちょっと、がっかり。

「そう? でも、征一さんと一緒なら何でも嬉しい」

「そう言われると、俺も嬉しいよ」

「どこへ行くの?」

「ん………、後で話す。あまり楽しい所じゃないぞ」

どこへ行くのかなあ。見当もつかない。

「ごちそうさま。風呂入るかな」

「お湯張ってあるけど、冷めちゃってるかも」

「追い焚きするから大丈夫。色々悪かったな。次からは何もしなくていいぞ」

「うん。あ、カード返すね」

「待て」

席を立って、リビングへ行こうとしたら、征一さんに呼び止められた。

「あのカードは予備なんだ。裕子が持っててくれ」

「え? いいの?」

「ああ。いつでも来れるだろ?」

嬉しい。嬉し過ぎて涙が出そう。
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