甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
「裕子ちゃんは、お紅茶で良いかしら?」

「いえ、俺と裕子にはコーヒーをお願いします。ミルクと砂糖も」

「はいはい。ではそれで、お願いね」

「はい、かしこまりました」

その声がした方を見ると、いつのまにか黒いメイド服を着た女性が立っていた。

うわ、本物?
メイド服を着た女の子はよく見かけるけど、本物のメイドさんは初めて見た。

「どうだ、仕事の方は?」

「ええ、まあなんとか…」

「経理部と言えば…」

「父さん!」

「ああ、すまない」

「専務に報告してますから、いずれ父さんにも行くでしょう」

「そうだな、しっかり頼むぞ」

ああ、やっぱり経理部で何かあるんだ…

「もう、お父さんったら、せっかくみんな揃ったんだから、仕事の話は止めてちょうだい。男の人は、すぐそれなんだから…」

「はいはい」

あら、お父様、意外と従順。神崎家は、かかあ殿下?

「裕子ちゃんとのお付き合いは、どのくらいなの? あ、期間の事よ。なに笑ってるの、修二?」

修二さんがクスクス笑っていた。実は私も危うく吹き出すところだった。

「さ…」

「一ヶ月かな」

私が3週間と言おうとしたら、すかさず征一さんが被せて答えた。
サバ読みますか…?
< 188 / 239 >

この作品をシェア

pagetop