甘い秘密指令〜愛と陰謀に翻弄された純情OL〜
“征一さんも、黒のタキシード姿がとっても素敵よ”

なんて事、思ったって絶対に言ってあげないんだから!

ウェディングドレスと言えば、もうすぐ私は純白のを着るのよね……

その時に横に立つ男性が、こんな鈍感男でよかったのかしらね!

私は肩を隠す、ボレロ風の白いシフォンのストールをグッと握りしめた。
今日はずっとこれを掛けたままでいようっと。征一さんになんか、触らせてあげないんだから!

私は「ふん」という感じで征一さんから顔を背け、黒いガラス越しに車外を流れる景色に目を向けた。

「何をそんなに怒ってんだよ…?」

と言いながら、征一さんが体を寄せて来たけど、

「怒ってないもん!」

私は征一さんをキッと睨み、再びそっぽを向いた。

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